暑くてボーッとする。それ、脳が水分不足を起こして悲鳴をあげているのかもしれません。そして、その瞬間から脳の老化が進行しているのです。
夏は水分不足による脳の老化が進行しやすい季節です。脳の水分が足りなくなると、生命にかかわる取り返しのつかない惨事が起こることもあります。なのにあまり知られていない、水分不足が脳の老化を引き起こしてることに対しての予防策をお伝えします。
脳の老化とは何か?
- 記憶力の低下: 誰もが年齢とともに記憶力が衰えます。日常生活での忘れ物や予定の見落としが増え、過去の出来事や人々の名前を思い出すのが難しくなります。
- 認知機能の低下: 脳の老化により認知機能が低下します。思考力や判断力が鈍り、複雑な問題の解決や集中力が難しくなることがあります。
- 注意力の散漫さ: 脳の老化により、注意力が散漫になることがあります。集中力が続かず、日常生活でのミスや手元の物を紛失することが増えるかもしれません。
- 言葉の出しにくさ: 脳の老化によって、言葉を思い出すのが難しくなったり、言葉の出し間違いが増えたりします。
- 感情の変化: 脳の老化によって、感情の制御が難しくなることがあります。イライラしやすくなったり、うつ状態になったり。突然どなるシニアクレーマーが増加しているのと関係があるんでしょうね。
脳の老化は自然な過程であり、完全に防ぐことはできませんが、予防や緩和する方法が存在します。
水分不足が脳の老化に与える影響とは?
脳は体内で最も多くの水分を必要とする器官の一つです。また、水を飲むと優先的に脳に水分が行くようになっています。脳に水分が行き渡らないと起こる症状をまとめました。
水分不足と脳の関係性
- 脱水症状と脳機能低下: 水分不足による脱水症状は、脳の正常な機能に悪影響を及ぼします。脱水症状が進行すると、脳細胞の活性化や神経伝達物質の正常な働きが妨げられ、認知機能や注意力の低下、集中力の欠如などの問題が生じます。
- 血液循環と酸素供給: 水分不足によって血液の濃度が高まると、血液の循環が悪くなります。これにより、脳への酸素供給が減少し、脳の機能に影響を与える可能性があります。酸素不足は、思考力や判断力の低下、集中力の欠如などを引き起こします。
- 脳の組織の萎縮: 脳は水分が80%です。長期間にわたる水分不足は、脳の組織に影響を与えます。水分不足によって脳の細胞が十分な水分を得られない場合、脳の組織が萎縮したり、脳の容積が減少することが報告されています。このような組織の変化は、認知機能の低下や脳の老化を促進するでしょう。
- 脳の毒素排出: 水分は体内の毒素や代謝産物を排出するために重要な役割を果たします。十分な水分を摂取することによって、脳からの毒素や廃物の排出が促進されます。逆に、水分不足によって排出機能が低下すると、脳内に毒素や有害物質が蓄積し、脳の健康に悪影響を及ぼすのです。
これらの要点からわかるように、水分不足は脳の正常な機能に影響を与える可能性があります。適切な水分補給を行うことは、脳の健康維持や認知機能の維持に重要です。日常生活での水分摂取量に十分な注意を払い、水分不足を予防することが推奨されます。
脳の老化と水分不足の関係性
水分不足が続くと、脳組織の萎縮が進行し、脳の容積が減少します。また、水分不足によって血液の循環が悪化し、酸素や栄養素の供給が不十分になることも脳の老化に関与しています。
- 脱水症状と脳機能の低下: 水分不足による脱水症状は、脳の正常な機能に悪影響が出ます。脱水状態では、脳細胞の水分量が減少し、その結果、脳の細胞間の電気的なシグナル伝達が妨げられます。これにより、認知機能の低下、集中力の欠如、記憶力の低下などが現れます。
- 血液循環と酸素供給: 水分不足は血液の濃度を高め、血液の循環を悪化させます。血液の濃度が高まると、血管の収縮が促進され、脳への血流が減少します。これにより、酸素や栄養素の供給が減少し、脳の機能が低下するのです。
- 神経細胞の保護: 適切な水分摂取は、神経細胞の健康と保護にも関与しています。十分な水分を摂取することで、神経細胞の正常な機能を維持し、酸化ストレスや細胞の損傷を軽減する効果があります。水分不足によって細胞の保護機能が低下すると、脳の細胞が老化や損傷に対して脆弱になります。
- 脳の老化の加速: 長期間にわたる水分不足は、脳の老化を促進させます。水分不足によって脳組織の萎縮や細胞の損傷が引き起こされると、認知機能の低下や記憶力の低下が加速します。また、水分不足によって毒素や廃物の排出が妨げられることも、脳の老化を促進する要因となり得ます。
脳と腸の関係
認知症の始まりは腸の水分不足だという説があります。
脳と腸は「脳腸相関」と呼ばれる複雑な相互作用を持っています。腸内には多種多様な細菌が存在し、これらの腸内細菌は消化・吸収だけでなく、神経伝達物質の生成や免疫系の調節などにも関与しるのです。一部の研究では、腸内細菌のバランスが乱れると、脳の機能に悪影響を与える可能性があるとされています。
認知症と腸の水分不足の関係については、具体的な科学的根拠があるわけではありません。ただし、脱水症状が慢性化すると、体内の水分バランスが崩れ、様々な健康問題が発生する可能性があります。例えば、脱水症状が進行すると、血液の循環が悪化し、脳への酸素や栄養の供給が減少することが考えられます。その結果、認知機能や脳の健康に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
ただし、認知症は多因子性の疾患であり、単一の原因やメカニズムでは説明しきれない複雑な病態です。脳と腸の関係についての研究はまだ初期段階であり、腸の水分不足だけが認知症の始まりと結びついているとは断定できません。
今後の研究によって、脳と腸の相互関係や腸内環境が認知症に与える影響についてより詳細な理解が進むことが期待されています。
水分補給の重要性とタイミング
水分補給の効果は個人差がありますが、一般的には脳の機能に直接的な影響を与えるまでには時間がかかります。一気飲みしても吸収されないし、胃腸がびっくりしてしまいます。汗をかいてなくても水分は呼吸や皮膚から出ていきます。喉が渇いたなと思う前にこまめに飲むのがいいでしょう。
日常的な水分摂取
一般的には、日常生活での水分摂取を均等に分散させることが推奨されます。1日に飲む量を意識するのではなく、100ml~150mlを何回飲んだか。この量は1回で体が水分を吸収できる量です。なので、一気に沢山飲んでも吸収されずに出ていってしまうだけなんです。1日に7~10杯の質の良い水を摂取することを意識した方がいいでしょう。
食事前後
食事前や食事後に水分を摂ることは、消化を助けるために役立ちます。食事前に水分を摂ることで、満腹感を高め、過食を防ぐことができます。また、食事後に水分を摂ることで、消化を促進し、栄養が血液にのって体のすみずみに行き渡るように吸収をサポートします。
運動前後
運動中は、発汗により水分を失いますので、適切な水分補給が必要です。運動前には事前に水分を摂り、運動中はこまめに水分補給を行いましょう。
夏の炎天下でのスポーツは、熱中症にかからないようにしなければなりません。毎年、夏になると学校での運動中に熱中症で何名も運ばれたというニュースがでますよね。
入浴前後
入浴前に水分を摂ることで、脱水を予防し、血液ドロドロになって血栓ができるのを防ぎます。
入浴後は血行が良くなっているため、水分の吸収が効率的に行われます。水分摂取のタイミングとして、入浴後の30分~1時間以内に水分を摂ると良いでしょう。
よくお風呂上りに冷たい牛乳を一気飲みなんてシーンがありましたが、そんなに一気に飲むと、体は飲み物との温度差でビックリ。お風呂上りに倒れることにもなりかねないので、ご注意を。
睡眠前
脳梗塞の発症時間の40%が睡眠中です。睡眠前に適量の水分を摂ることは、体内の水分バランスを整えるために重要です。6月~8月の蒸し暑い夜が発症しやすいというデータもあります。
睡眠中にかく汗の量は200ml。熱帯夜には500mlも汗をかくそうです。もちろん、オネショみたいなことでは無くて、毛穴から蒸発しているんですけど、思っているより大量ですね。
高齢者は夜中にトイレで起きたくないからと水分補給をしないで寝てしまいがちになるので、気をつけてくださいね。
熱中症予防の水分と塩の関係
熱中症予防には、ミネラルたっぷりの天然塩と水が吸収率が高く最適です。ぬちまーすや海の精のように原材料は海水のみの加工されていない体にいい塩がおすすめです。
たくさん汗をかいたときは、電解質も補給できるOS-1のような経口補水液を飲むこともおすすめですが、簡単にご自分でも作ることができます。
手作り経口補水液のレシピ
材料 水 500ml 、天然塩 1.5g(小さじ1/4)、生はちみつ3杯、レモン汁 1/3個分
作り方 上記材料を混ぜ合わせる
筆者は暑い夏には輪切りにしたレモンをはちみつに漬けておいて、入れています。デトックスウォーター風経口補水液です。レモンの皮にはリモネンという脂肪代謝を促進する成分がありますし、ビタミンCやポリフェノールで夏の日焼けからのダメージを改善し、夏バテや疲労回復にもいいのでおすすめです。骨粗しょう症予防にもなりますしね。
塩分補給をする際の塩には天然塩がおすすめです。塩には他に再生加工塩・精製塩があります。
- 天然塩 原材料は塩のみ。工程は天日、平釜。ミネラル豊富。
- 再生加工塩 人工的に作られた塩。天日塩やにがりが原料。
- 精製塩・食卓塩 海水を科学的に作り、99%が塩化ナトリウム。
厚生労働省では、熱中症対策として食塩相当量が100mlあたり0.1~0.2以上の飲料の摂取を推奨しています。
血圧が高いことを気にしている方なら、精製塩や食卓塩の使用は避けましょう。化学的に作られた塩なので、ミネラルが無くなっていてナトリウムのみ残っているのです。
本来、塩はバランスの良いミネラルで成り立っていて、高血圧を治すには適度な塩と水と言わう人もいました。ところが大量生産のために作られた科学的な塩にはミネラルがなくなってしまったのです。
天然塩の作り方を見ていると、海水から天日で乾かしてと何日もかけても少量しかできず、とても手間がかかっています。天然塩はミネラルが入ってるので、しょっぱさの中に甘みがあります。これは精製塩にはない甘みです。
水分をガバガバ飲んで、汗で流れてしまった塩分を摂らずに何Lも飲んでいると低ナトリウム血症になるかもしれません。軽度の場合では症状はほとんどないこともありますが、重度の低ナトリウム血症では頭痛、吐き気、嘔吐、けん怠感、けいれん、意識障害などが現れることがあります。
熱中症対策として、事前に情報を仕入れて予防することも大切です。
参考:環境省 熱中症予防情報サイト https://www.wbgt.env.go.jp/
水分不足を招く生活習慣とは?
不十分な水分摂取
多忙な日常や忘れっぽさなどから、十分な水分を摂取することができないことがあります。また、加齢によって喉の渇きを感じにくくなるため、水分補給の意識が低下します。
先日某TVでケータリングシェフの密着をやっていて、そのシェフはうかがったお宅では一切水分を摂らず、8時間何も飲まず食わずが普通と言っていました。そうなると、もう血液ドロドロです。しかもそのシェフはその仕事が終わった後にコーラを一気飲みしていました。血糖値も一気に上昇して危険で、そんな日々を過ごして大丈夫なのかと心配になりました。
筆者も接客業をしていた時は5時間何も飲めないという働き方をしていたことがあるのでわかるのですが、仕事中とはいえ、うまく飲水タイミングをみつけないと真面目がバカをみることになりかねません。
適切な水分摂取量の目安
一般的な目安として、1日に約2.5Lの水分を摂取することが推奨されています。ただし、個人の体調や環境によって必要な水分量は異なるため、自身の体のサインに注意しながら摂取量を調整しましょう。
1日に2.5Lといっても、水を飲む量は1.2L、食事から1L、体から作られる代謝水が0.3Lの内訳です。
これは1日に排出される量を補うと考えてください。尿が1.5L、排便0.3L、呼吸や汗が0.7Lくらいの内訳からなります。
常に水分補給を意識する
忙しい日常で水分補給を忘れがちですが、定期的な水分補給を心がけましょう。スマートフォンのアプリやアラームを活用することで、水分摂取を意識することができます。
水分補給は水だけでなく、ハーブティーやフルーツのジュースなども適切な選択肢です。ただし、砂糖やカフェインの含まれる飲み物は適量にとどめるようにしましょう。近年の研究では、コーヒーやお茶に含まれるカフェインくらいでは、がぶ飲みしない限り脱水症状にはならないというデータがあります。
高齢者に水分補給を促すには?
高齢になるとのどの渇きを感じづらくなります。その上、体内に溜め込める水分量も少なくなっていきます。また、暑さも感じづらくなるので、夏でも冬服を着て汗をかいてるなんてこともあるのです。
認知症になると負のスパイラルになってしまい、水分を摂るのを忘れてしまうこともあるので、周囲の人によるケアも必要になってくるでしょう。
水分補給の重要性を説明して、納得してもらったうえで意識してもらえるといいですね。
脳の老化を防ぐための水分補給ポイント まとめ
脳の老化を防ぐためには、こまめな水分補給が重要です。
水分不足が脳の機能低下や老化を引き起こす可能性があるため、日常生活での水分摂取に意識を向けることが大切です。適切な水分摂取量の目安を把握し、忙しい日常でも定期的な水分補給を心がけましょう。
特に暑い夏、熱帯夜には水分補給をしてから寝るようにしてくださいね。
参考文献
[ヒトの脳内水分子を活用したエコテクノロジー」-本田財団https://www.hondafoundation.jp/data_files/view/220